「藝人春秋」 著:水道橋博士


芸人春秋

活字なんて何年ぶりに読んだでしょうか。
書くことは大好きなのにいざ本を読もうとなると睡魔が襲ってくる逆活字アレルギーな僕が「読もう!」と思って自ら購入し3日で読みきったこの本。

普通なら一晩で読み切るだろうけど、この活字大嫌い&読むのが遅い僕が3日なんだからそれは相当なことだ(伝わらないと思うけど)

そもそも手に取るきっかけは博士のTwitter。

読者の感想に対して毎日行っていた博士のしつこいRT宣伝は、批判もあるようですがこうして購入者を出してしまったということは効果があったということですよね。

確かに僕も毎日目にするので正直うっとおしいなぁと思っていたのですが、全員がヤラセとも思える賛辞の数々は興味を持たずにはいられませんでした。
たまに辛辣な感想もあるんだけど、博士は丁寧に「ありがと!」と返信している。
その辺りも博士の策なのかもしれないけどね。

で、いざ買おうと思っても書店になかなか売ってない。
Amazonも常時在庫切れ。
ネットショップをくまなく探せば売ってるんだろうけど、ネットを生業としているくせにこういうものは実物を手にとってレジに並んで持ち帰りたい性分なのでとにかく多くの書店をひたすら巡った。

10店舗目くらいでようやくGET。
思ったよりもサイズがでかい。
ここまで探して巡り会えたので、そのサイズ感や重みがずしりと心地よい。

この本の内容はざっくりと言うと「博士が出会った変人記録帳」とでも表したらいいだろうか。
ここで言う「藝人」は所謂「芸人」ではなく、この世とは別世界の住人を表している。
決してオカルトではなく、そのメンバーは

「ビートたけし」「松本人志」「ポール牧」を筆頭とした芸人さん
「湯浅弁護士」「ほりえもん」といったテレビを賑わせたビジネス界隈の奇人
「甲本ヒロト」「草野仁」

といったミュージシャン、アナウンサーにまで及ぶ。
なぜ彼らのことを「この世とは別世界の人間」と表しているのかは、実際に本を手にとってもらいたい。

僕はかつて「テレビ業界で何かをしたい」という漠然とした夢を持っていた。
そんな思いからなんとなくコントを書いたり、大喜利のお題を考えたり、ひたすら部屋にこもり誰に見せるわけでもなく悶々と過ごしていた時期があった。
「漠然とした」と書いたけど、実際は放送作家になりたかった。
しかし、その世界の扉を開くことも、ましてや扉を叩くことすら出来ない臆病者だった。
「あの世」に飛び込む勇気が湧かなかった。

10年以上前の話で、今では別の道でそれなりにご飯を食べているけれどやはり心のどこかで捨てきれない自分もいた。
あの道に進んでいたら、扉を叩いていたらどうなっただろうか。

しかし、この本を読んで過去が清算出来た気がした。
とても自分の精神力や決意では「あの世」に足を踏み込むことは出来ないと思い知らされたし、入っていたとしてもボロボロになっていただろう。
それくらい、強い信念と覚悟が必要な世界だと言うことが数々のエピソードを読んでも分かる。

ただ、この本が単純に個人的な「過去との決別」で終わったからこうして評を書いているわけではない。

この本にはそれぞれの業界で生きる人間の真実と信念が凝縮されている。
どの世界でも1本の強い芯を持った人間は輝いているのだ。
本の中に三又又三のエピソードが出てくる。
たかり根性の強い三又はハッキリ言ってクズ人間だ。
知り合いだったとしたら真っ先に関わるのを拒絶するだろう。
しかし、彼と同じように世の中を渡れるかと言われると、それはできない。
持ち前の「二枚舌」と「長いものには巻かれろ」の精神は会社経営者にとっても見習うべきところが多くあるはずだ(信用問題は置いておいて)
甲本ヒロトの音楽論はクリエイティブな仕事をする人間は一度は読んでおくべき、どんなビジネス本よりも言葉の重みがある。

このように、世の中に溢れる人生哲学や自己啓発の本を凌駕する輝ける人物たちの軌跡ならなぬ奇跡が綴られている。

もちろん、紹介されている人物も凄いのだけれどその言動や行動を事細かに覚えている博士の記憶力と文章力は、世間にこの偉大なる人物たちの功績を伝承する琵琶法師なのかもしれない。

登場する「藝人」に興味がある人もない人も、人生が順調な人も行き詰ってしまった人も手にとって欲しい1冊です。

dragon様のひとこと
また宮路社長と高洲院長のロールスロイス綱引きみたいな企画が見たいよね。

 

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